はだしのゲンを読み返している。やはり名作だ。セリフ回し、なんだか脱力してしまう作画、戦争というこの上なくシリアスなテーマを扱っているのにギャグとしか思えない構図、どこを取っても名作である。流石にピカドン投下のシーンは鬱屈とするものがあるが、それも人々のあげるギギギという呻き声で一気にギャグ化してしまう。
そんなはだしのゲンの魅力あるキャラクターの一人で、体罰問題が浮き彫りとなる昨今の風潮を真っ向から否定するのが、中岡大吉(ゲンの父)だ。
大吉が焼死するまでのページ数は272、うち大吉が登場するページは114である。
その114ページで彼が振るった暴力は25発。つまり、大吉が登場するページの21.9%では大吉による何らかの暴力が行われているということである。
ちなみに暴力の内訳は以下の通りである。(カッコ内は暴力の対象、数字は回数)
○げんこつ6回(ゲン1 進次1 昭4)
○なぐり12回
・通常なぐり(ゲン1)
・なぐり飛ばし(ゲン2 進次1 竜吉1 沼田1 教師1 浩二1 町内会長1)
・マウントなぐり(ゲン3)
○棒攻撃2回(町内会長1 その仲間1)
○平手打ち4回(浩二1 昭2 沼田1)
○竹槍破壊1回(竹槍1)
以上計25回
町内会長の息子・竜吉に痛烈な一打を加える大吉(なぐり飛ばし)
マウントポジションをとってゲンを3発なぐる大吉
弟の進次がなぐられるゲンを見て笑っていることから、当時の体罰の日常性を感じ取ることが出来る。 (マウントなぐり)
体罰問題を語る上でこの事実は重要ではないだろうか。なぜなら世間ははだしのゲンを名作として受け入れているからだ。ほとんどの小学校の図書館に置いてあることは間違いなかろう。私も初めてはだしのゲンを読んだのは小学校の図書館だった。物語の序盤で退場した大吉ですらこの回数の暴力を振るっている。もしピカドン禍が無ければもっともっと暴力を振るっていたことは容易に想像される。内訳を見れば瞭然だが、自分の息子たちに対する体罰がかなり多い。はだしのゲンを名作として扱うならば体罰上等という態度を取らなくてはならないのではないだろうか。
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